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天使か悪魔か

リアルババアあしゅのいらん事言いブログです。 昔の記事は http://maho.lomo.jp/nashural/ に。

殿のご自慢 53

このように穏やかな日々が続くのは
八島に来てから初めてであった。
伊吹は朝、城に出仕し夕刻に戻ってくる。
青葉は昼過ぎから槍の稽古に登城し
時には伊吹と一緒に帰る。
 
朝は既に目覚めている伊吹が
腕の中の青葉の顔を眺めている。
一緒に朝食を摂り、夕食も一緒。
そして灯りを消した部屋で
夜空を見ながら青葉の注いだ酒を飲む。
 
 
柱にもたれて座る伊吹が、青葉を引き寄せ
膝の上に乗せて抱き締めて
その日あった事を訊く。
青葉は正直に話す。
すべてを。
 
槍の基本を一通り教わったので
今は馬に乗って打ち合いをしている事
乾行より勝力の方が、稽古は厳しい事
痣になるので、模擬槍の中身が
藁から綿になった事
 
楽しそうに話す青葉の体に回した伊吹の腕に
つい力が入る時もある。
その理由を青葉は知っているけど
隠し事はしない。
伊吹に殺されるのが平気だからだ。
 
 
「伊吹さま。」
青葉が顔を出すと
周囲の者が色めき立つので
伊吹は少し恥ずかしい思いをする。
 
それでなくとも、青葉はいつどこでも
自分に対して真っ直ぐに好意を示してくる。
 
「今日は一緒に帰りませぬか?」
「うむ、それは構わぬが
 まだ仕事が終わらぬ。
 そなたを待たせるのは・・・。」
 
“心配” という言葉を呑み込んだのは
伊吹の虚勢であった。
そんな伊吹の気持ちに
青葉は遠慮をしなかった。
「大丈夫でございます。
 今日は大殿さまに
 お呼ばれされておりますのよ。
 では、また後ほど。」
 
何っ?
大殿のお呼ばれ?
伊吹の反応にも気付かずに
青葉は軽やかに歩いて行った。
 
 
その夜も、青葉を膝に乗せて伊吹が訊く。
「“大殿のお呼ばれ” とは何だ?」
青葉が楽しそうに答える。
「お茶会でございます。
 大殿さまの点てるお茶は
 作法通りではありませぬが
 とても美味しゅうございますの。」
 
伊吹がまるで聞いていないかのように
相づちを打つ。
「そうか。」
「奥方さまも時々いらっしゃいますのよ。」
「そうか。」
「大殿さまより奥方さまの方が
 気がお強くてらっしゃるのですよ。」
「そうか。」
 
 
膝の上の青葉を抱きしめて
伊吹が体を揺らす。
月の明かりの下
ゆっくりと揺らされていると
ついウトウトとしてしまう。
 
「眠いか?」
「ええ、少し・・・。」
青葉は、そのあとの伊吹のつぶやきを
聞き逃した。
 
 
「俺といると・・・。」
 
 
 続く 
 
 
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

未来への不安

今の世の中、老後への不安が
ある人って、多いと思う。
私も、ほんとリアルに不安がある。
 
老後の生活に限らず
心配したってしょうがないのに
まだ見えない未来の事を
クヨクヨクヨクヨ悩む癖もある。
 
そういう時は
胸に鉛でも詰まったかのように
漠然とした、重く苦しい
気分にさいなまれる。
 
朝起きていきなり
「老後どうなるんだろう・・・」
とか、ウツの症状のような気もするが
こういう不安事って
大なり小なり誰にでもあると思う。
 
 
“心配” って、するだけムダだよな。
ただ気分が暗くなるだけだもんな。
 
“悩む” と言っても
具体的にじゃなく
モヤモヤしているだけだもんな。
何の解決にもならない。
 
 
では、こういう気分に陥った時に
どうやって脱出するか?
 
それは、キーワードを作るのがコツなんだ。
前向き、もしくは明るくなれる
励ましの言葉を見つけ
それをすぐ思い出せるように
キーワードを設定するのである。
 
今の私の場合は、「ていっ」。
気合い入れの掛け声。
 
 
悪い考えが頭に浮かんだら
即座に 「ていっ!」 と
その考えをぶん投げる動作を想像する。
 
クヨクヨ悩んでも
未来は変えられない。
悩んで気分が落ち込むだけムダ。
去年悩んで、今年どうにかなったか?
去年悩んでいたのは
まったくのムダだったろ?
だったら未来に目を向けずに
今この瞬間だけの事を考えよう
 
そして、これだけの言葉を並べ
自分を必死に説得するのである。
 
悩みそうになる度に
「ていっ」 と、打ち払い
上の言葉をズラズラと脳に流す。
 
 
これは、悩みと忘却の
いたちごっこのようだけど
しないよりは気が軽くなる。
 
具体的な問題を解決しようとするなら
ともかくも
内容のない不安感には
聞かぬ思わぬ考えぬ! の
姿勢で臨んだ方が
気持ちが楽になると思うんだよー。
 
すごく単純な力技なので
どうにもならない事で
クヨクヨしそうになったら
自分なりの、自分を説得する言葉と
それを思い出すキーワードを試してみて。
 
何度もやってる内に
自分を洗脳できて
悩まなくなるかも知れないし。
 
 
それとな、年のせいか
過去のいらん記憶がよみがえって
あああああ、となる事も増えたんだよー。
 
年寄りは過去に生きる、って
本当かも・・・、と今から恐怖。
あまり良い事をしてこなかったんで
過去なんか思い出したくないんだよー。
 
そういう状態を打ち消すには、黒板消し。
頭の中で黒板を消す動作をイメージする。
嫌な思い出を消す、という気合いで。
 
思い出すと黒板消し、
思い出しそうになっても黒板消し。
脳内でシャッシャシャッシャと
黒板を消す日々だよー。
 
 
結局、自分の姿勢を正すのは
自分の思考だと思うんだ。
私はいつも、“キーワード” に頼って
気持ちを切り替えるようにしている。
 
だって自分にとって都合の悪い事は
自分で排除していくしかない。
そのために、口八丁で
“自分を騙し騙し、なだめていく”、
これ、卑怯くせえけど有効だよー。
 
 
 
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これ、バネ式つぼ押し器具だって。 へえー
ピンポイントでキリキリ押してくれそうだよな。

テーマ:日常雑感 - ジャンル:ブログ

殿のご自慢 52

「乾行の子というのは確かなのか?」
とても失礼な事を言われたが
美しい顔の身分の高そうな男が
無表情で冷静に言うので
お藤は素直に答えた。
 
「はい・・・。
 あの、信じて貰えないかも知れないけど
 あたしは遊び女ではなく
 飯屋で働いていて
 そこに乾行さまがいらっしゃったのが
 縁で・・・。
 もう2年ほどの付き合いだったんです。」
 
そして少し黙ると、また話を続けた。
「・・・乾行さまはどうだかわからないけど
 あたしは乾行さまだけでした・・・。」
 
「で、そなたは産みたいのか?」
「状況が許せば・・・。」
 
 
今夜はお藤を屋敷に泊める事にして
伊吹と高雄は話し合った。
「乾行には家も妻子もないし
 問題はないのではないか?」
「うむ、だがあの女は
 援助が目的なのであろう。」
「それは、するなと言っても
 青葉がいたすであろう。」
 
伊吹の予想通り、青葉は
お藤にまとわりついていた。
「お仕事はきつくありませんか?
 よろしかったら
 うちで静養なさいませんか?
 お子さまの事も含めて
 あなたは何も心配はいらないのですよ。」
 
お藤はそれらを全部断った。
「誤解してほしくないんです。
 あたしが来たのは
 乾行さまはお侍さんでしょう?
 この子を産んで誰かに取られたりしないか
 それを確認しに来たんです。
 もしそうなら
 どこかに身を隠さないと・・・。」
 
青葉はお藤を安心させようと必死だった。
「大丈夫ですよ。
 乾行さまには他にお付き合いしている人は
 いらっしゃいませんでしたし
 乾行さまのお子を取ろうとする人など
 おりませんわ。
 もし、そういう輩 (やから) が
 現れたら
 わたくしが全力で阻止いたしますから。」
 
その一生懸命な様子に、お藤は
頭は悪そうだけど本当に良いお方だわ・・・
と感じ入った。
 
 
伊吹と高雄の酒の席に、青葉もやってきた。
「乾行さまのお子をあのお方が産むのは
 何か問題があるのですか?」
「いや、特にない。
 が、あまりうるさくしないように。」
伊吹が青葉に釘を刺す。
 
意外な事に、青葉はうなずいた。
「あのお方は援助など
 欲しくないようでしたわ。
 それをするというのも失礼な話。
 わたくしたちに出来る事は
 町の治安を良くして
 子供を育てやすい環境を
 整える事ですわね。」
 
その答に高雄は内心驚いた。
この馬鹿女、マトモな感覚も
持っているではないか!
 
しかし、すぐに腹を立てる。
としたら、今までのわけのわからない言動は
やはりわざとではないのか?
この女、どうにも気が抜けぬ・・・。
 
 
三人は、それから想いを馳せた。
「乾行の子か・・・。」
 
いなくなってしまった友が
新しい命となって帰って来る
そんな気持ちになったのは、哀傷ゆえか。
 
 
お藤は翌朝、お礼を言って帰って行った。
 
 
 続く 
 
 
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

恐がり

ホラーや心霊好きの私だけど
本来は、ものすごい恐がりである。
 
大人になって、ようやく慣れたのか
恐い映画とかを楽しんでいたんだけど
ここのところ、子供の頃の恐がりが
急にぶり返してきて
この夏に、あのギャグのような
“3D貞子” を最後に
恐いものを一切、観ていない。
 
何で急にこうなったんだろう?
趣味が1個、減ってしまったよ・・・。
 
 
子供の頃の私は、小学校の6年になるまで
親と一緒に寝ていたほど、恐がりであった。
ド田舎の夜は、漆黒の暗闇である。
そんな中、ひとりで寝るのは恐すぎる。
 
周囲は甘えたがりだと見なしていたけど
いや、実際に甘えていたんだけど
本当は恐かったから
ひとりで眠れなかっただけなのだ。
 
 
小学校高学年の時の担任が言った。
暗闇が恐いのは、見えないからで
そこに行ってみれば、何も起こらず
何だ、平気じゃないか、と思うはずだ、と。
 
小学生時の素直な私は
この方法も試してみたが
まったく効き目がなかった。
 
恐い事が起こる “かも知れない”
という、期限なしの不安が
恐怖の原因だから、当たり前だな。
今思うと、この担任は
あまりタメになる言動をしないヤツだった。
 
 
そんな私の恐怖克服法は
灯りを点ける事。
でも、厄介な事に
眠る時は真っ暗じゃないと眠れない!
 
まったく、何でこう相反する性質を
持っているのか
自分が悲劇の主人公に思えてくる。
 
だから頭からつま先まで布団にくるまって
ミノムシのように寝るのが
私の寝る直前の基本姿勢なんだけど
今回の猛暑は、掛け布団がほんっと無理で
その上、今まで調子こいて
観まくってきた恐い映画等を
布団に入ったら次々に思い出すわで
こんなとこまで自業自得って
活きてくるのか・・・、と
自分の過去をものすごく悔いたよ。
 
この夏、あまり良い眠りに付けなかったのは
私の場合は、気温のせいだけじゃなかった。
 
まあ、もの忘れもひどいから
その内に恐い話も忘れてくれるかな
と思うんだけど、忘れたい事ほど
覚え続けているような気がする・・・。
 
 
そんな私がどうやって眠っていたかというと
感情って、ストレートに出した方が
乗り越えられる、みたいな話を
どっかで聞いたんで
布団に入って、恐い話を思い出しそうに
なるたびに、それを打ち消すかのように
ひいいいいい、恐いーーーっ!!!
と、脳内で叫んでいたんだ。
思い出す余地を与えさせない、みたいに。
 
これ、寝る時だから
疲れて思考力が落とせるけど
活動時にやったら
確実にパニックを引き起こす気がする。
 
ほら、肝試しとかで、ひとりが叫ぶと
全員が恐怖に陥る現象、あれ。
 
このように使いどころが難しい技では
あるけれど、寝る時には
中々効き目があるから
恐がりの人は試してみてほしい。
 
恐怖の感情が出そうになったら
先手を打って、先に脳内で叫ぶ。
 
 
同じように、腹が立ちそうな時とか
悲しくなりそうな時も
その意味を深追いせずに
上っ面だけで、頭くるーっ、悲しいーっ
とやっていれば、誤魔化せる。
 
感情の根本を誤魔化して良いのかは
よくわからないけど
今まで生きてきて、自分の感情には
ロクでもねえ起伏しかないような
気がするので、私の場合は有効だな。
 
 
気が早いけど、これから冬。
冬は神経痛だの頻尿だの
健康に酷な季節だけれども
布団に潜ってかぶってしがみついて
うおおおおおおお、ヌクヌクーーーッ
と脳内で叫ぶのは、至福の時だな。
 
 
 
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ホースもマットもいらないなんて
すっごい手間と場所省き!!!
値段もお高いから
1年以上は狙い続ける予定。
冷蔵庫がな、ヤバいんだよ・・・。

テーマ:どーでもいいこと。 - ジャンル:ブログ

殿のご自慢 51

敷島の屋敷の門で、ひと騒ぎ起きた。
「どうしたんだい?」
使用人たちが集まって来る。
 
「この女が青葉姫さまに合わせろって
 しつこいんだよ。」
「ああ、帰れ帰れ
 おまえのような者が会える
 お方じゃない。」
「あたしは乾行さまに縁 (ゆかり) が
 ある者だって伝えておくれよ。」
 
この話を又聞きした使用人のひとりが
やって来た。
女探しを依頼されていた男である。
 
人だかりから女を離して、コソッと訊く。
「おまえは乾行さまとどういう関係だね?」
 
女は言いにくそうであった。
「信じちゃ貰えないだろうけど
 あたしは乾行さまの女だったんだ。」
 
 
使用人は困った。
勝力に口止めをされている。
だが、青葉に探してくれ
と直々に頼まれたその女が
あっちから屋敷に出向いて来ているのだ。
 
んーーー、と、しばらく悩んだが
意を決した。
おいらの主 (あるじ) は
青葉姫さまだもんな。
使用人は、女を青葉姫に取り次ぐ事にした。
 
 
青葉は大喜びした。
「よく連れて来てくれましたね。」
使用人に駄賃をはずむ。
青葉の笑顔に、使用人は舞い上がる。
 
「あなたもよく来てくださいました。
 さあ、こちらにどうぞ。
 美味しいお菓子がありますのよ。
 それとも軽くお食事でもいかがですか?」
 
青葉の歓待に
女は乾行の気持ちの理由を見た。
このお方は本当に乾行さまを慕ってて
そしてあたしを、“乾行さまの女” だと
尊重してくれるんだ・・・。
心まで美しい純粋なお方なんだね。
 
 
「あの・・・
 この前は嫌な態度を取って
 すいませんでした。」
「まあ、そんな事よろしいのです。
 乾行さまを失って、一番寂しいのは
 恋人のあなたですもの。
 あら、そういえばお名前をまだ
 伺っておりませんでしたわ。」
 
「あ・・・、藤 (ふじ)、
 お藤と呼ばれています。」
「まあ、お藤さん、綺麗な名前ですね。」
 
 
如月が持ってきた茶と菓子を見て
お藤は急に口元を押さえた。
「・・・うっ・・・」
 
「ご気分が悪いのですか?」
気付かない青葉に、如月が見かねて言う。
「姫さま、このお方は
 身篭っておいでかと。」
 
「・・・お姫さまに言えた義理じゃないけど
 あたし、乾行さまの子が
 出来たみたいなんだ。
 それで相談に・・・。」
 
 
青葉は飛び上がった。
「まあ! それはおめでとうございます!
 どうしましょう、如月、
 お医者を呼ぶべきでしょうか?
 それともお休みになる?
 布団の用意を・・・」
 
うろたえてオタオタする青葉を見て
お藤が困ったように如月の顔を見る。
「世間知らずで申し訳ございませぬ。」
如月は冷静に言った。
 
「姫さま、伊吹さまに
 使いを出すべきでしょう。
 仕事が終わったら
 うちで一緒にお食事をと
 高雄さまを連れて来てほしい、と。」
 
「おおごとにするな、と言う事ですの?」
「はい、これは政治的な問題が
 あるやも知れませぬゆえ。」
 
青葉はお藤の手を握った。
「わたくしはあなたの味方ですからね。」
お藤は ありがとうございます、と応えたが
こういう事は
青葉では役に立たない気がしていた。
でもあの勝力というお方の居場所も
わからないし・・・。
 
 
夕刻になって、伊吹が高雄を連れて来た。
「知らせ通り高雄を連れて来たが
 何かあるのか?」
青葉は嬉しさを隠しきれずに言う。
「乾行さまの子供が・・・」
 
伊吹の足の力が抜け、後ろによろけるのを高雄が支えた。
慌てて如月が、早口で言葉を繋ぐ。
「乾行さまのお子を身篭ったという
 お方が来ておられます。」
 
 
伊吹は床にへたりこんで
青ざめた顔で胸を押さえた。
高雄は無表情であったが
はらわたが煮えた。
 
・・・・・・・・この馬鹿女、わざとか?
 
 
 続く 
 
 
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