天使か悪魔か

リアルババアあしゅのいらん事言いブログです。 昔の記事は http://maho.lomo.jp/nashural/ に。

惨劇は映画館で

2003年の記事。


私は映画が好きである。 が、映画館は大嫌いだ。

映画館ではロクな事がない。
痴漢に遭うのも映画館の風物詩だが
そんな事はささいなもんである。

付き合いでしか行かない場所で
しかも数回しか行ってないのに、イヤな経験をし過ぎる。
映画館は呪われた空間としか思えない。


私が20歳前後の時の話である。
某短大に通っていた友人がいる。
こいつは、とにかくうるさく
座敷犬のようにキャンキャン騒ぐのである。

一緒にいて頭痛がするほどで、いつも
「うっせえ、ちょっとは黙れ!」 と怒っていた。
が、表面の女の子女の子した印象と違って
中身は結構サバサバしてるので
かろうじて今でも友情は続いている。


そいつが短大の友人を5人連れてきたので
何事かと思った。
初対面なのにいきなり 「お願いがあります」 と
5人が言い出した。

私にポルノ映画に連れていけという
どっからそういう考えが出るんだという
途方もない頼みごとである。

どうやら、友人は短大の仲間に
しょっちゅう私の噂をしていたらしい。
噂の内容は知らん。
が、どこをどう切っても
あの頃の私に後ろめたいとこはない。


自分も一度もポルノなど観た事はないし
また興味もないと断ると
「センパイが連れてってくれるなら、私たちも安心です」
と、くいさがる。
誰がセンパイじゃあ! こらあ! 同い年だろうがあ!

とうとう根負けした私は
センパイセンパイと呼ばれながら
友人も含め6人を道玄坂の映画館に
連れて行くことになった。

この6人、類は友を呼びまくったらしく
揃いも揃って小型犬であった。
何がそんなに楽しいのか
キャアキャアはしゃぎながら後をついてくるのだ。
自分もこの一団の仲間に見られてるのかと思うと
脱力モノだ。


途中、私は止めたんだが、皆マックを買った。
ポルノを観ながら飯を食おうという鋼鉄の神経である。

映画館に入ると、私たちが移動する方向に人波が割れる。
そんな事をまったく気にせず中央の座席に陣取り
6人ははしゃぐ。
マックポテトの匂いがあたりに充満する。

切羽つまって来てるお方もいらっしゃるだろうに・・・。

まさにヨソ様のお宅に土足で侵入したかのような
申し訳ない気分で
スクリーンに目がいかない私を尻目に
最初から最後までテンションを下げずに
宴を繰り広げた6人の感想はというと
「思ったより面白くなかったですが
 いい経験になりました」 だった。
そうか、これからそのいい経験を
人生のどこに活かすのかはまったく聞きたくないわ。

これ以降、私はこの6人にセンパイ扱いされて
うんざりする日々が続いた。


やめときゃいいのに、またまた付き合いで
私は友人と映画館に行った。
千葉真一と真田広之の映画で
内容はまったく覚えていない。

座席は満席で、こういう映画を観にくるヤツが
こんなに多いのかと意外だった。
映画が終わって、さあ帰ろうかと思ったら
アナウンスが流れた。
出演者一同が舞台挨拶に来てるらしいのだ。
なるほど、客が多いのはこのせいか。

どうでもよかったが、ついでなので
挨拶を聞いていく事にした。
これが惨劇の始まりであった。
さっさと帰りゃよかったのだ。


大歓声の中、千葉真一、真田広之
その他の俳優が出てきた。
真田広之が映画の中で使った物をプレゼントすると言う。

司会者が 「誰にあげましょうか?」 と聞いたら
真田がしばらく考えて
「僕が映画の中で着ていたような金か銀の
 ジャンパーを着ている人に」 と答えた。

会場は失望のざわめきが起こった。
バカじゃねえの? 真田。
そんなすっとんきょうな服を着てるヤツはいないだろう。


・・・ところが、ここにいるのである。
そのすっとんきょうが。
私はその日 「NASAが開発した新素材
 優れた耐熱性」 な
銀のジャンパーを運悪く着ていたのだ。

「どなたかいませんかー?」 と
しつこく司会者が探す。
さっさと違う条件にせんかーーーーー! と、私は座席に奥深く座り、身をかがめていた。
にも関わらず、ついうっかり会場にいた係員と
目が合ってしまった。

係員が鬼のような顔をして、「行け!!」 と
あごを振り、私を睨む。
しょうがなく、私は舞台の方に降りていった。

途中、 「いいなあー」 と、女の子の声が聞こえた。
あんたさえ良ければマジで代わってやりてえよ。


舞台の前まで来て私はとまどった。
舞台は私の肩ぐらいの高さがある。
ここを上がるんか? と
私はさっきの係員の方を振り返って目で哀願した。

係員は般若のような顔で
「登れーーー! 急いで登らんかーー!」 と
オーバーアクションでブンブン勢い良く
ジェスチャーする。

何でそこまで怒られにゃならんのだよ・・・・・。
まずこのケンカ腰の係員をどうにかしてくれよ。


えーい、しょうがない、と、腹をくくりよじ登り始めた。
座席から見たら、どんなにか
情けない姿であろうか・・・。

付き合いで映画を見に来ただけなのに
この満員の観客の中
何でこんなに恥をかかなければいけないのか
まったくもって心当たりもない。
しいて言えば、妙なファッションセンスのせいなのか?


舞台上では私の登場を俳優たちが無言で待っていた。
しかし、とても登れたもんじゃない。

舞台に両手と左足をかけ、ジタバタしている私を
さすがに見かねたのか
千葉真一が駆け寄って引っ張りあげてくれた。

千葉ちゃんサンキュー、あんた真の紳士だよ!
それに引きかえ、真田~~~~~!!
おまえのせいでこういう事態になっとるのに傍観かい!
お前は鬼かーーー!!


舞台に上がった私は真田からサングラスを貰った。
レイバンで、マッカーサーがかけてたあのモデルである。

これを私にどう使えと・・・・・?
(こういうのは使うもんじゃなく
 大事に飾っとくもんだという頭はまったくなかった)
しかも値札まで付いていた。
映画で使ったんじゃないんかい!


それで終わったと思ってたのに
それから出演者一同の演説が始まり
その間、私はまるで出演者のような顔をして
真田の隣に立たされていた。


友人が帰り道
「あんた、すごい機嫌悪そうな顔してたよ
 最初から最後まで」 と言った。
おう! その通り!! 嘘偽りなく怒ってたさ。

その友人には散々文句をたれて飯をおごらせた。
サングラスは中学時代の同級生で
ヤンキーになったヤツがいたので、そいつにやった。

はいはい、私はあほうだ。 
猫に小判、豚に真珠を体現してみましたさ。





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