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天使か悪魔か

リアルババアあしゅのいらん事言いブログです。 昔の記事は http://maho.lomo.jp/nashural/ に。

太公望が泣いてるぞ

2004年の記事。


私は釣りが大嫌いである。
ボーッとしているように見えるだろうが
実は落ち着きのないヤツなのだ。
そういうヤツに釣りなぞ務まるわけもない。
だが、本人の意思に反して
釣りをする機会が結構多い人生を送っている。


私の生まれ育った山奥の地は
うっとうしいほど自然に囲まれている。
近くには貧相な川が流れていて
ヤマメなどが生息しているのだ。

兄は帰省をしては、釣りをしていた。
田舎の娯楽といえば、釣りか山菜採りぐらいのもんだ。

私は釣りに興味がなかったが、たまに連れていかれた。
だが、一度も魚を釣った記憶がない。

エサは岩をのけると、ミミズのような虫?が
ウジャウジャいて、それを使うと知って
まず、そこで脱落。

釣り竿を持って、じっとしているのに耐えられず
ゴソゴソし、兄に 「おまえはあっちで遊んどけ!」
と、怒られて、戦線離脱。

兄たちが釣りをしている何時間もの間
私は河原で石を積んで
三途の川遊びをするしかなかった。

聞こえるのは蝉の声だけという静寂が
小学生の私には辛かった。
まだ、パチンコ屋で放置されてる今時のガキの方が
有意義な時間を過ごせていると思うわ。


ある夏の日、兄と兄の友人が
家の下の川で釣りをしていた。
私と、当時飼っていた紀州犬も、そこへ遊びに行った。

私と紀州犬は川で救助ごっこをして遊んでいたが
兄たちは釣果がないのか
どんどん場所移動をしていき
私たちも兄たちを遊びつつ追った。

何となくお腹が空いたので
「私、もう帰る」 と告げて、あたりを見回したら
そこがどこなのか、まったくわからない。
家の近所ですらないのだ。

「ここ、どこ?」 と、兄たちに聞いたら
兄たちも激しく動揺し
とりあえず道を探そうとなり
川から離れ、山を歩き回った。

山合いの日没は早い。
夕暮れかな、と、思ったら
一瞬であたりが真っ暗になるのだ。

真っ暗な中、背丈以上に生い茂った草をかき分け
遠くに民家の明かりが見えた時には
全員が歓喜の声を上げた。
助かったーーーーー、という気分で、まるで遭難者だ。


民家の人は、えらく驚いていた。
大人2人、子供1人、犬一匹がヨレヨレボロボロになって
「電話をお借りできますか?」 だ。

「一体、何があったんかね!」 と、叫んでいたが
これが今なら拉致誘拐とか思われてるとこだよな。
まず家に電話をして、兄は母に怒られ
次にタクシーを呼んでもらった。
そこがどこだったのかは今でもわからないのだが
家までタクシーで一時間以上かかった。

唯一あった良い事といえば
兄が母にバカのアホのと罵られた事である。
いつもは私のみが罵倒対象なのだが
今回はさすがに大人の兄の責任だ。

だが、私は怒られたらシュンとなるのに
兄はテヘヘと笑っていて
怒られてるのにそういう態度でいいんかよ
と、ちょっとムカついた。


兄がうなぎを捕りに近所の小川に行くというので
見物についていった。
夕方にワナを仕掛けて、朝回収するのだそうだ。
うなぎが2匹獲れ、母が固辞したので
父が庭先でうなぎをさばいた。

うなぎの開腹を見て、内臓の匂いで
私はその日、引きこもりになった。
夕飯も食えない。
繊細な子供には衝撃的な光景である。

(それがトラウマになり、今でも私はうなぎが食えない。
 ついでに、あなごもどじょうも
 私の脳内では同類として、ひとくくりになっている。)


そんな傷つきやすい幼女の心を踏みにじるかのように
兄がまたうなぎを捕ってきた。
今度は5匹いるらしい。
前回の2倍強の血沸き肉踊る食卓かよー。

うなぎは翌日食うことになり
バケツに入れられ、庭に放置された。

夜になり、廊下を歩いていたら、庭で動くものが見える。
げ! と、ビビり、月明かりを頼りに凝視したら
蛇が数匹這っていて
一匹は庭の池に入っていき、他は庭の向こうに消えた。

ありゃよく考えたら、バケツのうなぎが
逃げ出したんじゃねえんか? と、思ったが
いなくなれば、あのうなぎ執刀ショーもなくなるので
あっさりと見なかったことにして、部屋に行って寝た。

翌日、兄が 「うなぎが消えたーーー」
と、大騒ぎをしていた。
兄は鋭いことに、池にいるんじゃないのかと探し回ったが
何故か見つからなかった。

私は縁側に座って、兄がうなぎを発見しないかと
ドキドキしながら眺めていた。
幸い、うなぎは無事に逃げ延びたようで
スプラッタ祭りは中止になった。

数日後に、庭の真下にある田んぼにうなぎが出た
という騒ぎが起こったらしいが
うなぎがどうなったのかは知らない。


東京から父の知人夫婦が遊びにきたので
宮崎の日向に、船釣り旅行に出かけた。
私が小学校低学年の頃の夏の事である。

ポンポン船みたいなんに乗って沖まで出て
船から釣り針のいっぱい付いた糸を垂らして
釣りをするのだ。

走り回りたい盛りのガキをこういう行事に連れて行くのは
虐待も同然なのだが
私は大人しく、釣り糸を垂らしていた。


その日の海は、波をバックに
北島三郎が熱唱していそうな勢いで荒れていて
大波にドッパーンドッパーンと船が揺れる。

よろけたはずみに父と母の釣り糸が絡まったらしく
後ろでもめ始めた。
波の音でよく聞こえなかったのだが
文句の言い合いは罵りあいにと発展し
やがて怒鳴りあいにまで成長した。
父も母も波でよろけつつ
糸をほぐしつつの怒鳴りあいである。

延々と夫婦ゲンカが背中で繰り広げられ
気になって振り向く度に
両親の足元で絡まっている釣り糸は
ほぐしているはずなのにどんどん大きくなっていって
それを見て 「アメリカの荒野にこういうのが
転がってるよな」 と、ボンヤリ思っていた私。

船頭さんも、いい加減この糸をどうにかすればいいのだが
誰も関わりたくないほど
両親の様子も足元の釣り糸ダンゴも
しっちゃかめっちゃかになっていた。


突然、静かになったので、あれ? と、振り向くと
両親がゲロゲロ吐いている。
そのうちに父の知人夫婦もゲロゲロし始め
船上は揺れと吐き気でのたうちまわる病人と
釣り糸ダンゴで阿鼻叫喚の修羅場と化した。

一体、こいつら大人が何をしにきたのか
子供の私にはさっぱり理解できなかった。

何の魚を釣りに来たのか知らないが
父の友人の旦那さんの釣り糸に1m以上ある太刀魚が
偶然引っ掛かり、ゲロりつつも 「おおおおおおおお」
と、大騒ぎをしていたが
私は最初から最後まで、釣り糸を一度もあげていない。
一箇所に座って動かず、釣り糸を垂らしたまま
ボーーーッとしていただけだったのだ。

誰も子供の私に釣りの仕方を
教えてくれなかったからである。
育児放棄もいいとこだ。

船から降りて 「酔ったわ・・・」
と、ヨレヨレになった母に
「あんまりはしゃぐから」 と
つい余計なひとことを言ってしまったら
それが母の逆鱗に触れ
「この子はバスで酔うくせに
 何であの高波で酔わないのかしら。 気持ち悪い子ね」
と怒りの標的にされ、その後、この船釣りの話になる度に
繰り返し言われるハメになった。
おそらく5年ぐらいは言われ続けていた記憶がある。


熊本に住んでいた独身時代、釣りに誘われた。
あまり行きたくはなかったのだが
気軽なものだと言われ、のこのこついていった。
場所は天草。 時は初夏。
今度は河原から海に向かっての釣りらしい。

長い釣り竿というのはかなり重い。
兄が使っていた竿とは大違いである。
リールの使い方とかを習ったのだが
釣り針をちゃんと遠くに投げるのが難しい。

思いっきり釣り竿を真上に振り上げたら
後方の岩に針が飛んでいき引っ掛かり
横方向に振ったら
ちょっと離れたところで釣りをしている人の
クーラーボックスに引っ掛かり
なかなか釣りが始まらない。


それでも何となくコツを掴み 「おりゃあ!」 と
振ったら、やっと思い通りの方向に飛んでいった。
・・・・・・・・・・リールが・・・・・・・・・・・。

あっけにとられている私に向かって
「おまえ、一体何をしたーーーーーーー!」
と、友人も飛んできた。

いや、これ、私が何かしたんか? と、言いたかったが
友人の引きつりまくる表情を見て
もしやこれはえらい高価な釣り竿だったんか?
と、慌て 「ごめん、拾ってくる」 と
海に入ろうとしたら制止された。

「いや、いいって。 もう使い物にはならないし」
友人は自分に言い聞かせるように言う。
その悲壮な様子を見て申し訳なく思い
「ごめんね、弁償するよ」 と、言ったら
「いや本当に良いって。 おまえを誘ったのは俺だし。
 しかし、おまえって・・・・・」
だから、私は普通に扱っていただけなのだが・・・。


釣り竿が一本破損してしまったので
橋の上から釣りをしようと言われた。
というか、さっきの騒ぎで、周囲の釣り人の目もあり
私たちはかなり恥ずかしい立場になっていたのだ。

もう帰りたかったが、結局私は
一度も釣りをしていないので、ついでだとやってみた。
橋から釣るのは禁止されてるらしいので
釣り糸を垂らすだけの釣りだ。


「何か重くなった気がするんだが」 と、友人に言ったら
「それが釣れてる証拠だ。 さっさとあげろ」
(さっきの事件で、かなりぞんざいに扱われている)

あげてみたら、タコで、あまりにビビったので
「うひゃあ!」 と、放り投げたら
工具箱の横にタコが落ち
「拾え、拾えーーー」
「いやああああああ、触われんーーー」
と、大騒ぎしているうちに
タコがウニャウニャ這っていき
よりにもよって開いた工具箱の中に入り込み
釣り針やら浮きやらグチャグチャにしてくれた。


呆然と立ちすくむ友人の横で
「生きてるタコって柔らかいんだ・・・」
と、つぶやいたら、無言で見つめられ
その目は雨の中の仔犬のような輝きを放っていた。

友人は文句らしい文句はひとことも言わなかったが
それ以来、何かというと 「おまえって・・・」
と、つぶやくようになり
私の評価はかなり心外な位置につけられたようだ。
釣りの誘いはそれから一度もない。



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