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天使か悪魔か

リアルババアあしゅのいらん事言いブログです。 週一更新。 昔の記事は http://maho.lomo.jp/nashural/ に。

子供の頃、雪の日は宇宙に行っていた

2008年の記事。


私が生まれ育ったのは
九州のチベットと呼ばれる場所なので
(いや、呼んでるのは私だけだが) 積雪は割にあった。
凄い時は、子供の膝あたりまで雪が積もるのだ。

そんな日は、学校も臨時休校になるので
頭の弱いガキだった私は
一日中ひとりで遊び狂っていた。

家で飼ってた紀州犬をお供に
段々になってる田んぼに行き
意味もなく走り回ったり、雪の塚を作ったり
小川を雪で埋めようとしたり
木から下がるツララを雪玉で狙ったり。


そうして疲れると
まっさらな雪の上に大の字になって寝て
ボタ雪が舞い降りてくる空を眺めるのだ。

田んぼも真っ白、山も真っ白、木々も真っ白
空も真っ白、紀州犬も真っ白。
静寂な白の中で、動いているのは雪だけ。
雪が降っているのではなく
自分が雪の中をグングン昇っているかのような
まるで白い宇宙に漂っているような
不思議な感覚に陥る。

それが楽しくて何十分もそうしていると
雪の降る音が聴こえてくるのだ。
遠くで鳴っている鈴の音のような微かな音。
よく言われる 「シンシンと雪が降る」 というのは
事実なのだ。

単に体温が低下したか
精神的な何かが原因の耳鳴りかも知れんが
中学生ぐらいになって、夜勉強しているフリをしてる時に
その音が聴こえて、窓を開けると
雪が降り始めていた、とかあるので
本当に “雪の降る音” ってのはある、と信じている。

と言うか、何十分も雪の上に転がってるとか
人に見られたら、キ○ガイ扱いされるとこだが
人口が少ない上に
そんな大雪の日に外に出るのはアホしかいないので
幸いにも人に遭遇した事はない。
陰で見られて、噂になってたのかも知れんが。


たまらんのは、お供の紀州犬である。
私が雪の積もった田んぼに寝ている間
座ったら冷たいので、ただ立っているのだが
何を不安になっとんのか、時々私の顔を覗き込みに来る。

真っ白な視界の中に、突然茶色い目と鼻が横から現れる。
その目が、「おめえ大丈夫かよ?」 から
「いい加減にしろよ」 に変わり
私の顔を数度舐めた後に
家の方向に向かって数歩歩き、振り返るのだ。
これは 「もう帰ろうぜ」 という表現のようで
紀州犬も寒いので、犬小屋で
毛布にくるまっていたいらしい。


こいつは私の子守役とでも自認しているのか
私が出掛ける時は必ずついてきて
私が帰るまで自分も帰らない。

雪の日などは、家から出てきた私と目が合うと
「はー、やれやれ」 といった顔をされるし
私が帰る気になって自宅方向に歩き始めても
「はー、やれやれ」 で
明らかに嫌々なのが見え見えで
そんなに嫌ならついて来なきゃいいのに
一体どういう使命感を持っていたのやら。


コタツで丸まってたかあちゃんも
全身雪まみれで帰ってきた真っ赤な顔の私を見て
ものすごくイヤな顔をして
無言でマフラーや帽子をストーブの周囲に掛ける。

こういう寒い日の夕食は
大抵とうちゃんの好きな水炊きになるのだが
私は鶏肉が大嫌いなので、ご飯と漬け物だけになる。

ご飯を食った後になっても
真っ赤な顔をしている私をいぶかしんで
かあちゃんが額に手を当てると、高熱を出していて
苦い粉薬を飲まされて寝せられ
翌日の外出禁止令を出されるのが
毎度の大雪の日のパターンであった。

でも構わない。
雪国とは言え一応南国なので
翌日には弱々しい太陽が出て
あたりは雪解け水でズチャズチャになるのだ。
毎冬に何度かくる、一日だけの銀世界である。


しかし、うちの親は可愛い娘が
大雪の日に外に飛び出て行って
夕方まで帰らずにいるのに
何をとことん放置していたのやら。
しかも帰宅後、必ず熱を出していたのに。

おめえらの娘は、人っ子ひとり外に出ない大雪なのに
遭難もありえる山奥なのに
野山を一日中転げ回っていたんだぞ。
普通、色んな方面で心配しないかあ?
紀州犬の方が、よっぽど保護者っぽかったぜ。

でも、一度かあちゃんがとうちゃんにヒソヒソと
「あの子、ちょっとおかしいんじゃないかしら・・・」
と訴えていたのが、しっかり聴こえたので
一瞬、心配はしてくれていたようである。

だけどその非常に普通の親らしい心配も
とうちゃんの 「子供ってのはああいうもんだろう」
で終ったのが間違いであろう。
友達に外で遊んでたと報告したら
「うそー、信じられなーい」 と驚かれたから。
同級生は皆、家でコタツに潜っていたようだぞ。

今思い返してみても、我ながら
確実にヘンなガキだったと思うし
うちの親の放任さには、かなり呆れる。
小川に垂れる凍った木の根っこをよじ登ったりとか
ヘタすりゃ死んでたような場面はいくらでもあったのに
こうやって無事に生きているのが奇跡だぜ。


今でも、あの時の雪が舞う空をはっきりと覚えている。
だが長時間思い出していると・・・・・気分が悪くなる。

ふんわりした雪の上に寝転び、あたり全部が真っ白で
重力を感じられず、基点をどこに置けばいいのか
わからない不安定さで
ムカムカと吐き気がしてくるのである。

多分これが宇宙酔いだと思う。
ガキの頃、よく平気だったもんだ。

・・・と思うのは
私がつまらんオトナになったって事だろうか?
それとも、ようやくマトモになったって事なのか?


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